KG+ SELECT 2025

時津 剛

Takeshi Tokitsu

BEHIND THE BLUE

都市開発に伴う地価高騰=高級化によって街から包容力と多様性が失われる「ジェントリフィケーション」は成熟した大都市に共通する問題だが、東京も例外ではない。2000年代以降、建築基準を緩和して都市を再生させるという「都市再生特措法」をトリガーに、大規模な都市開発とタワーマンションの建設ラッシュが続き、その表層は大きく変貌し続けている。そして街を歩くとどうだろう。歩道橋やビルの隙間に設置されたフェンスや扉、横たわれないように肘掛けがついたベンチ、「排除アート」と呼ばれる奇妙なオブジェや突起物など、その「排他性」にも気づく。昨今、都心で路上生活者を見ることは少なくなったが、都市生活者でもあった彼らが身を潜め、体を横たえていた隙間は消えゆき、彼らは、ますます「見えない存在」へとなりつつあるようだ。

東京の周縁を流れる多摩川を歩いた。点在するブルーシートは、路上生活者の即席の住まいだ。バブル経済を懐かしむ者、故郷に思いをはせる者̶̶。彼らは、モノを保護したり、隠したりするブルーシートによって皮肉にも可視化された「見えない存在」といえないだろうか。東京に移り住んで30年余り。かつての東京が内包していた雑多性という名のおおらかさを、最近懐かしく思う。このプロジェクトは都市の周縁から照射した、私なりの東京論でもある。

堀川御池ギャラリー

〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町 油小路通御池押油小路町238―1

地下鉄東西線「二条城前」駅2番出口から徒歩3分

Open: 4.12 Sat.—5.11 Sun. 11:00—18:30 (最終入場|Last Entry 18:00) Closed: Mon.

11:00 - 18:30

入場無料

Supported by 株式会社シグマ |Sigma Corporation

RELATED EVENT - 関連イベント

OTHER EXHIBITIONS - その他の展示

ALL EXHIBITION