



牟禮朱美
Akemi Mure
さなぎの中はだれも知らない
一般的な「思春期」のイメージは、SNSなどによって流布され肯定されている。その表現手法は、彼女らを扇動するときすらある。しかし、わたしは定型の形に違和感がある。言葉で表現すると修飾され、違った意味に変換されそうなので、口ごもりながらこの作品をつくった。
撮影中彼女らは制服を着て周囲に溶け込み、戸惑いながらわたしとある一定の距離を保ち続けた。制服はみる側に考えることを保留にさせ、彼女らの押し黙る表現を助ける。ぎこちない会話は続かず、ただ唯一、レンズがお互いの依り代だったように思う。
しだいにわたしは制服が未完成な彼女らを外圧から守るさなぎにみえてきた。SNS時代の彼女らは、イメージが勝手に張り付くことを恐れている。彼女らは、外へは余白としてとりあえず固定したイメージを与えておきながら、安全なさなぎの中で移り変わっているのだとしたら、わたしは容易にメディアのイメージに答えを求めるのではなく、わからないまま観察すべきだと思った。そして彼女らが戸惑ったように、私たちも戸惑わなければならない。このような行き来するまなざしにこそ、「思春期」という名でカムフラージュされている彼女らの「本当の態度」が立ち表れてくるのだと思う。
堀川御池ギャラリー
〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町 油小路通御池押油小路町238―1
地下鉄東西線「二条城前」駅2番出口から徒歩3分
Open: 4.12 Sat.—5.11 Sun. 11:00—18:30 (最終入場|Last Entry 18:00) Closed: Mon.
11:00 - 18:30
入場無料
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