鈴木敦子

Atsuko Susuki

GOOD NATURE STATION 4F GALLERYでは、KYOTOGRAPHIE KG＋2024の会場として新進気鋭作家陣の作品をご覧いただけます。その前期展示として、4/13（土）～30（火）の間、写真家・鈴木敦子による個展『Appear』を開催いたします。

鈴木はこれまで記憶の痕跡とその外側にある世界を交差する〝内と外〟の境界から生じる疑念や揺らぎを、写真というメディウムを通して作品にしてきました。前作の「lmitation Bijou」では自己と不確かな社会を含む世界に対しての〝真と偽〟を模索し、その問いかけは変容しながら続いています。

鈴木は自身の作品撮影に対し、「撮るというより、その場に立ち会うという感覚に近い…」「そこにあった体験を受けとり、ちがうものに変換して記憶に回帰させていくような行為…」と述べています。体験とは人が生きていく中で記憶として積み重なっていく精神と身体のレイヤーであり、その重なりや身体に微かに残る痕跡を通して現在の世界を見つめる事は、鈴木の作品の起点において重要な要素となっています。

今作「Appear」はこれまでの撮影から選んだ写真で構成され、作者の作品に一貫して含まれている光と影の共存、記憶と現実世界の狭間のような情景が感じられます。目の前に確かに在る（或いは在ったであろう）対象を見つめ、何かしらの影響を受けた時にシャッターを切ることで、その存在（と不在）を写真に表出する試みから立ち現れたイメージは、知覚の本質のみならず物事の原初を内包し、情報が瞬時に意味と成してしまう世界において、言語に簡潔に置き換える事のできなさを問いかけます。