KG+ 2023

72

酒井一貴

Kazutaka Sakai

Somewhere not here / fragments of kyoto

夜明けに、日中に、京都の街をさまよい歩き写真を撮っている。対象となるのは何処にでもあるような風景の中の「部分」であり、「京都らしさ」ではない。2020年春から始まったこの撮影は、夜明けの青い光と、予期せぬ偶然の積み重ねにより、私と写真との間に固有の関係を生み出しつつある。写真の凄さとは、意味のないものを意味のないままに写すことにあると思う。目の前の風景は写真になるために存在するわけではないし、何らかの結論を導き出せるほどの単純さもない。しかし繰り返し写してきた写真の「量」の中には、安易な言葉を捨て去った後に、物の表面と質量だけが見せる「無」の世界が、シリーズの中に見えてきた気がしている。風景の儚さと人の心のもろさ、それら永遠に不完全な形の中に潜む「普遍性」のようなものを見たいと、常に私は思っている。

ヴォイスギャラリー(MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w)

〒600-8061 京都市下京区富小路通高辻上ル(仏光寺通下ル)筋屋町147-1

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