KG+ 2026

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杉野信也

Shin Sugino

Hands "pins and needles"

「手」は、国境や時代を超えて、その精神性や文化、文脈によって多様な意味を帯びてきた。身体の一部でありながら、手は単なる器官ではない。美術史家アンリ・フォシヨンは『手の讃歌(Éloge de la main)』において、「精神と世界を媒介する創造の主体」と記した。思考や感情は、手を通して初めて世界に触れ、かたちとなる。その意味で、手は精神が可視化される場所とも言えるのです。

能や歌舞伎において手の所作が強調されるのも、そこが「心が世界に触れる境界」であると考えられているからである。とりわけ能では、面によって表情が覆われ動きも最小限に抑えられる制約の中、手の角度や高さが、感情を表現する上で重要な役割を果たしている。静かに胸元に添えられた手は悲しみや内省を、扇をゆるやかに掲げる手は祈りや回想を、袖で顔を隠す仕草は涙や嘆きを表現するなど、ささやかな動きの中に、心の広がりが映し出されるのです。

本作は、作家が世界各国で50年以上にわたり撮影してきたさまざまなシリーズのなかから、「手」というモチーフを集めたものである。“pins and needles”とは、ひりつくような感覚を指す言葉であり、感覚が鋭く研ぎ澄まされると同時に、不確かさをもはらんでいる。

手は何かに触れ、確かめ、創り出すことができると同時に、誰かへと差し出される存在でもある。握手は約束、差し伸べられた掌は救済、重ねられた指先は沈黙のうちに共感を伝える。両手を静かに合わせるとき、それは祈りとなる。ときに手は、言葉よりも深く、他者や世界と触れることができるのではないだろうか。

ギャラリー冬青 野口奈央

Feel Records 京都はなれ店 ギャラリーにかい

〒600-8833 京都府京都市下京区西酢屋町10番地 2F

Open: 4.15 Wed.–5.3 Sun.
Closed: 4.20–4.22, 4.27, 4.28

10:00 - 18:00

*初日は12:00オープン、最終日は16:00まで | Open at 12:00 on the first day, until 16:00 on the last day

入場無料 | Free

キュレーター | Curator: 野口奈央(ギャラリー冬青) | Nao Noguchi(Gallery Tosei)
協力 | Cooperation: ギャラリー冬青 | Galley Tosei

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