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浅井愼平
Shimpei Asai
Reflection of my hands
作家の夏目漱石は自らの文学論のなかで文学の方程式化を試みている。ぼくの記憶によればF+f=P。Fは書かれた世界、fはそれによって喚起された感情、Pは表現とよぶもの、すなわち文学。この単純な方程式は写真にとっても同じなのではないだろうか。つまり、対象であるFの存在だけではなく、fが生まれてはじめて作品とよべるということになるのだろう。
ぼくは、この本のために写真の不条理な羅列とイメージの衝突、あるいは調和をはかることを試みた。
この写真を並べ重ねていくというモンタージュは、とても創造的なものだった。そして、目の前にある風景や事物や人物などを「選択」し「抽出」してカメラにとじ込め、フィルムに「定着」させ、紙の上に「移行」させることはぼくの写真表現の重大なファクターだが、そのことをあらためて認識した。このコンセプトは、マルセル・デュシャンが小便器を泉と名づけて美術へ「移行」させた1917年のニューヨークでの「事件」にさかのぼるかもしれない。ぼくは、密かにアバンギャルドの復活を願ったのだ。
そして、ぼくのアバンギャルドは新しい精神と自由なこころのことである。
ギャラリー素形
京都府京都市中京区室町通二条下ル蛸薬師町271ー1 然花抄院室町本店内
Open: 5.9 Sat.–5.24 Sun.
Closed: 5.18, 5.19
11:00 - 18:00
入場無料 | Free
協力 | Cooperation: ギャラリー素形 | Gallery SUGATA