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片桐 正義
Masayoshi Katagiri
〈Trace〉 / Portraits of Absence
〈Trace〉 / Portraits of Absence
警察の鑑識で使用される特殊な粉を被写体に振りかけ、その表面に残された「痕跡」を可視化して撮影する。写真の中に浮かび上がる朧げでありながら微光を放つ像は、普段は目に見えない「永い沈黙の末に結晶した、触知の澱(おり)」を映し出します。
写真というメディアが本来「そこに存在したもの」を記録するものであるのに対し、本作で写し取られる光は、物体がそこに置かれる以前──すなわち「過去の過去」を可視化しようとする試みです。それは、かつてそこに触れた人の存在が、長い歳月を経て素材の一部へと変質した姿を、永遠に留めようとする行為なのです。
Exhibition Structure
Photographs | 写真作品
遺族や友人への聞き取りを通して、故人の人となりを象徴する遺品を選定。それらを〈Trace〉の手法で撮影し、故人がこの世界に刻んだ存在の記録を可視化する。
Installation | インスタレーション
撮影に用いた家具、衣類、小物などの遺品。物質の肌理(きめ)に溶け込んだ「人の気配」を、より現実に近い環境で体感する。
Objective
鑑賞者が「彼らが確かに存在していた」という事実の証人となること。
〈Trace〉は、物質に定着した記憶と存在の痕跡を通して、
過去と現在、記録と記憶の境界を問いかけます。
gallery 森ノ魚
〒603-8025 京都市北区紫野東藤森町11-5
Open: 5.2 Sat.–5.17 Sun.
Closed: 5.12, 5.14
11:30 - 17:30
入場無料 | Free