KG+ SELECT 2026

A09

岸本絢

Aya Kishimoto

Behind Motherhood

日本では、女性には子を産む能力があるという理由で、先天的・本能的に母性が備わっていると信じられてきた。また高度経済成長期には、母親は子どもが三歳になるまで家事・育児に専念すべきとする「三歳児神話」が広められ、母の自己犠牲と子への献身が美徳とされてきた。

これらの価値観は科学的根拠を欠くとして否定されているにもかかわらず、自己犠牲して子どもに献身する母こそが理想的であるというイデオロギーは、現代の社会構造の中だけでなく母親自身の意識にも内面化され続けている。すなわち、社会が理想の母親像を女性に押し付ける一方で母たちもまたその理想を自らの中に再生産しているのだ。

ヴィクトリア朝時代に乳幼児を撮影する際、母親たちはシーツやカーテンの裏に身を隠し、長時間露光の間、我が子を動かないように支えていたという。子どもに光が当たるその瞬間、母たちは息をひそめ自らの存在を影へと退けていた。この匿名化された母の姿は、まさに現代の日本社会が理想とする母親像を象徴しているかのようである。

では、現代の母たちが理想とする母性とは、本来どのような形をしているのだろうか。本作品では、母たちがシーツの裏側に抱える曖昧でアンビバレントな感情に目を向けながら、社会システムの中で形成されてきた「母性」の概念の正当性に問いを投げかける。

くろちく万蔵ビル 3F

京都府京都市中京区百足屋町374−2 くろちく万蔵ビル

Open: 4.18 Sat.–5.17 Sun.
Open everyday

10:30 - 18:30

*最終入場|Last Entry 18:00
入場無料

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