
荻野NAO之
Naoyuki Ogino
いろうみ - 汀の京焼
「色」は単なる色彩ではない。宇宙(天)、地球(地)、人々(人)、三つの輪廻のはざまに広がる「いろうみ」(色産、色海)[造語]とでも呼ぶべき異界からうまれる壮大な物語の形見である。その形見は「いろうみ」の汀で鮮やかに色改まる。 焼きものの「色」はその分かりやすい例だろう。地球で生まれたものでない金属元素が焼成されて固有の色を宿す。星々の生死、超新星爆発などの「天の輪廻」で生まれた金属元素が、地球のプレートテクトニクスなどの「地の輪廻」を経て陶磁器の素材となり、さらに「人の輪廻」によって焼きものの技が受け継がれ京焼の色や形が生み出されてきた。とりわけ京焼の「色」・形・技法の多彩さは、日本文化の中心地であった京都が、多様な技をシルクロードの果てで包摂し、独自に発展させてきた痕跡といえる。 「いろうみ」の汀の京焼に散らばる多彩な「色」には、それぞれの物語へと見るものを誘う力が宿っているように思われる。
五条坂清水
京都府京都市東山区五条橋東5丁目476
Open: 4.12 Sat–5.11 Sun 11:00-17:00 Closed: Tue., 4.25 Fri.–4.28 Mon.
11:00 - 17:00
入場無料