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紀成道
Seido Kino
陰と陽と
「この世界は、合理的な人の頭の中にある確からしさを考慮した、確率の微積分に従っている」 (物理学者 J・C・マクスウェル)
不確実性の高い現代に、連続する過去から未来を導く方程式は存在しうるだろうか。日本は戦後、製造業によって経済発展を遂げたが、その陰で人口分布が偏り、地方に過疎という課題を植えつけた。西日本を横断 する中国山脈で分かれた南北の地域、山陽と山陰。両者は 1960 年代あたりからその典型的な道を歩む。 山陽のある街は世界最大規模の製鉄所を誘致し、人口は倍に積み上がった。発展とともに景色は面影を失い、かつてを想像するのは難しい。かたや山陰のある町は若者が吸い上げられ、人口が半減した。古来の製鉄法「たたら」や稲作の文化、神話の世界を色濃く残し、今につながる。
風景は過去における誰かの希望や欲望の帰結。背景を掘り起こせば逆算は可能となる。では現在を礎とした 両地域の未来にはどんな眺望が広がるのだろう。
堀川御池ギャラリー
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