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渡部さとる、苅部太郎、ローン・セローシ、ジュリー・ヴァシェ
Satoru Watanabe, Taro Karibe, Laurent Seroussi, Julie Vacher
屋久島国際写真祭 x ヴィラ九条山コラボレーション『post-』
我々が認識しているものとは一体何か。
言語学者フェルディナン・ド・ソシュールによれば、
人間は社会システムの影響を無意識の内に受けており、
言語の恣意性により認識の齟齬が生まれるとした。
概念的に日本語では”蝶・蛾”は区別されるが、フランス語では”Papillon”で統一される。
国や地域の差異によるこの認識の齟齬は、無意識の内に世界の見え方や思考に影響を与える。
文化相対主義を謳った文化人類学者レヴィ・ストロースは、
社会に優劣はなくルートの差異なのだと言った。
一見、合理的には見えない文化・風習であっても、
そこには緻密な体系を持った知的フレームワークが存在する。
世界を分類し、秩序を与え、厳密な論理性を備えた”ブリコラージュ”なのだと。
社会は無意識的な構造とその関係性によって構成され、それは普遍で多様である。
本展示会は日仏4名のアーティストが、
それぞれ風土から培われた”感覚” ”認知” “概念”を用いて創造した作品を
アメーバのようにブリコラージュした。
空間がもたらす高次的且つ球体的な思考により、
“post-“の洞察のための機会となる事を願っています。
「”post”とは既に提起された一連の問題群の上で思考し続けることである。」
文化研究者スチュアート・ホール
大きな物語は終焉を迎えた?
関西日仏学館
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