小林正彦

Masahiko Kobayashi

私が認識する世界は“私”というフィルターを通して抽出した情報で形成されたものであり、目の前の情報をありのままに一様に受け止めることは難しい。私が観ている世界は恣意的にフレーミングされた限定的なものである。 フレームの外にも様々な情報が漂っている。しかしそれらはフレームに収まらないが故に、その存在を誰かに認識されることはない。 誰もが自身の中に、時に非論理的で、安易に、即座に言葉にしえないものをもっている。情報をわかりやすく効率的に伝達することを求めるばかりでは、それらは誰かに受け止められることなく亡き者にされてしまう。 プロジェクターから投げかけられるイメージの全容を手探りで鑑賞する身体的行為を通して、切り取られた世界の外に在る知覚されなくても存在するものを観る者に提示する。