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橋本加奈
Kana Hashimoto
substitute A
私は友人をずっと撮影してきた。 自分の顔を出すことが苦手なくせに、自己表現欲求に飢えてしまった自分を鏡に写して一生懸命欲を満たすような作業をしていた。 表現は時にメッセージ性を強いられる場面がある。 決して様々な感情がなかったわけじゃないが、それ以上にそこにいる私を残すために撮影をした。 当たり障りないものであるが、この作業だけで私の欲求は少しずつ浄化される。 私の写真を見て人が何を思うかはわからない。むしろ何を思っても良いはずだ。 私の言葉は曖昧だが、写真だけはしっかりと被写体を捉える。 そして私はそこにいたのだと感じることができる。 ただ存在していることを知ってほしかった。 直感的に目に止まるものであってくれればと思い撮り続けてきた。
百万遍PUBBAR
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