163
Youki Kasahara
DIORの故郷
~ la ville natale ~
流浪の民の心の奥底には故郷と呼ぶ場所がある。
故郷への郷愁を表す言葉を持つ言語もある。
しかしその郷愁は一人ひとりの心によって定義され故郷はいくつでも持つことができる。
Christian Diorを探し求める私の旅はKYOTOGRAPHIE 2025から始まった。
幼い頃、家族の別荘の壁に掛けられていた額の中に洒落たマントを優雅に纏う女性の姿があった。
陽当たりの良い丘に建つ家の壁に掛けられていた額は色褪せていて半世紀前から掛けられていたようにも見えたが、幼い頃はその由来を疑うこともなく、家が売却された時には消えていた。
そして2025年の初夏のある日、倉庫に預けられていた古い段ボールの数個が自宅に届き、私は懐かしい額と息をのむような写真と再会した。
女性はDIORを纏っていた。
額は丁寧に包まれていたが傷んでいた。留め具を動かして裏板を外した時、額の中に保管されていた一通の手紙が床に落ちた。差出はChiristian Diorだった。
家族の物語が明らかになり、私はこの写真と家族の歴史に貢献したいと決心し、ありったけのフィルムとカメラ、機材を持ってフランスへ飛んだ。
世界中の女性を魅了するDIORの創始者Monsieur Christian Dior の創造の源を彼の故郷、生誕の地ノルマンディーから現代まで写真と映像を通して辿る長い旅はここから始まった。
京都市京セラ美術館 別館 2階
〒606-8342 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13
Open: 5.2 Sat.–5.10 Sun.
Open Everyday
10:00 - 18:00
*最終日は13:00まで | Until 13:00 on the last day
入場無料 | Free