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山田 陶子
Toko Yamada
結び目をなぞる
人は、生まれた土地に適した形に生まれてくるのだと聞いたことがある。
その場所で呼吸し、生き延びていくために。
十五歳の私は、ただここから遠ざかることだけを願っていた。
理由の言葉を持てないまま、この土地では息がうまくできなかった。
その頃の記憶は、苦しさの匂いだけを残して黒く塗りつぶされている。
地元の風景は長く、私の中で拒まれた場所として残り続けていた。
この土地を離れ、十年が経った今、
私はもう一度、この空気の中に身を置いてみることにした。
あの頃の私を孤独にし、拒んだはずの光景の奥で、 内側の深いところに結ばれたままの糸の感触が、かすかに残っていた。
歩くたびに、忘却の向こう側で記憶が薄い光の粒となって立ちのぼる。
かつて距離を置いた風景の前で、 過去の自己を再演し、 当時の記憶と現在の身体感覚が交差する結び目をなぞってゆく。
それは、小さな“許し”が往復するような時間だった。
Non-biased (stand)
〒604-0045 京都府京都市中京区古城町355-5
Open: 4.18 Sat.–5.17 Sun.
Closed: Tue. Wed.
*4.29、5.5、5.6はオープン | Open 4.29, 5.5, 5.6
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入場無料 | Free
コーディネーター | Coordinator: イセウユ | iseuyu