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鉾井喬
Takashi Hokoi
風を望む Windgraph Iceland
アイスランドで風をフィルムに捉えた。大西洋の孤島は天候が刻々と変化し、一年中風が吹く過酷な環境である。一方、人々は自然エネルギーを、電気や地熱暖房にするなどの恩恵も授っている。世界の中でも自然との対峙が必要な国の風を通し、人間と自然の関係性、未来を想像した。
「Windgraph」は風を可視化する装置だ。風見鶏のように動く三脚にピンホールカメラを乗せ、8分19秒露光する。太陽の光が地上に届くまでの時間だ。カメラは常に風上を捉え、光はフィルムに像として焼き付く。撮影にはフィルムを用いる。光という情報をデジタル記号でなく、連続する量として扱う。光が光線であると同時にエネルギーだと意識し、アナログフィルムに焼き付ける。プリントは暗室にて銀塩プリントで行う。一連のアナログ作業は、不可視なエネルギーを視覚メディアとして作品にするための重要なプロセスだ。
鉾井喬は、見えない存在が人の認識や行動に与える影響を主題に制作を行っている。人力飛行機のパイロットを務めた学生時代の、風によって状況が左右される経験が制作の原点だ。全体や変化を把握できない不確実性と不可視性は、戦争や災害などの不安を及ぼす事象とも似た構造と考える。風の視覚化が不安から未来を切り開く想像力へとつながると確信する。
不可視の可視化は、風という情報を提示するためではなく、見えない不安や期待に想像力をもって向き合う態度を鑑賞者に促すものだ。
ベクソンアーツ東山
〒606-8352 京都府京都市左京区北門前町485
Open: 4.23 Thu.–5.17 Sun.
Closed: Mon. Tue. Wed.
*5月4日は開館 | Open 5/4
13:00 - 18:00
入場無料 | Free
キュレーター | Curator: ユミソン | yumiSONG
協力 | Cooperation : NOT SO BAD