KG+ 2026

写真/伊藤明夫 詩/伊藤亜和

photo:Ito Akio poem:Ito Awa

聖なる君を置き去りにして。

祖父がいつから写真を撮り始めたのか、孫である私はよく知りません。
物心ついたときから、家には祖父が撮った写真が飾られていました。それは私にとって当たり前のことで、これまで私はとくに深く考えることもなく、その中で過ごしてきたように思います。
祖父はあまり自分のことを話す人ではありません。祖父がなぜ度々山に踏み入りシャッターを切るのか、ひとつ屋根の下で暮らしている今日でさえ、私は知りません。もしかしたら、祖父自身もよく解っていないのかもしれません。私はそんな祖父の静謐さを埋めるようにして、言葉によって何かを伝える生き方を選びました。私に写真を撮ることはできないし、祖父もまた、なにかを語ることはできないのです。
この展示では、私が私なりに獲得してきた言葉によって、孫ゆえに許される身勝手さで、祖父の写真に言葉を添えました。祖父は祖父にとって聖なる存在である私を置き去りにして旅をし、聖なる領域から生活に帰還する。そして私も、語られない祖父の解釈を置き去りに、聖なる写真に言葉を上書きする。祖父は「好きにしなさい」と、ぶっきらぼうに言いました。
さて、一緒にジジを探しに行きましょう。

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