KG+ 2026

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小坂美鈴

Misuzu Kosaka

Corpus:考えないことについて

労働により蔑ろにされた私生活の時間や身体性を、自らの手の内に回復し続ける小坂美鈴。部屋の写真を裁断したのちに身体のポーズになるよう編み上げる制作スタイルをとる。会場となるのは、個人の蔵書を共有する書庫を、図書室兼企画室として場を開く共同書庫。小坂の断片的な身体の作品群と、共同書庫に循環する資料が織りなす空間は、一つの総体として本展覧会タイトル「コーパス(corpus)」として立ち表れる。コーパスとはフランス語で文書や手紙などの研究対象となる資料の総体を意味するものであり、語源を遡るとラテン語のcorpsすなわち身体を意味する。編成からなる複数性を帯びた会場を解剖するように読み解くことから、鑑賞者は自らに息づく可動性が静かにほどけていくのを知覚する。

東浩紀の著作「平和と愚かさ」では、考えることの重要性を説きながら、人間が引き受けることができる問題への合理的判断や道徳的な正しさには限界があることが指摘されている。賢さへの脅迫が過剰であると、人間は逃走し平和を感じることができなくなる。本展覧会では、この議論を引き継ぎながら「考えないこと」について考える。それは思考を放棄することではなく、思考が過剰に身体を拘束しないための余白を探る試みである。それは展覧会を制作する上で、はたまた本がある場所で企画する上で、私たちが自由にほどけるためのひとつの生きる居場所のかたちであると考える。

共同書庫

〒604-8492 京都府京都市中京区西ノ京右馬寮町8-35

Open: 4.18 Sat.–5.3 Sun.
Closed: Tue. Wed. Thu.

13:00 - 20:00

*土・日は12:00–19:00 | Sat. & Sun. : 12:00–19:00

入場無料 | Free

キュレーター | Curator: 谷口雄基 | Yuki Taniguchi

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