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髙村啓子
Keiko Takamura
時間の箱庭
築100年以上の京町屋を改装したギャラリーに、銀塩写真で植物園を造る構想が浮かんだ。暗室の水の中に浸された植物は、町屋の空間に根を張り巡らせるかのように蘇る。町屋は箱庭の植物園となる。
柱や土壁に降り積もる生活の痕跡を辿るようにその中に植物を配置していく。そこにはいくつもの「時間の層」が立ち現れる。様々な技法による植物のプリントによって、町屋に堆積する100年もの時間、作家が写真を撮影し現像しプリントに費やした時間、町屋での展示の時間、展示に訪れる人が過ごす時間、いくつもの異なる時間が地層のように重なり合い空間を満たす。そして町屋の記憶の上に写真という別の記憶が積層する。
箱庭は自然を模倣しながらも人工的に制御された空間であり、人の手によって整然と配置される小宇宙である。私にとって写真もまた人工的に自然を定着させる行為を繰り返すものである。箱庭は自然の風景を小さな空間に凝縮し、写真は広大な自然の一瞬をフレームの中に圧縮する。箱庭も写真も変化する時間を永遠に留めるための装置である。
町屋を箱庭に例えて人工的な空間を造り、過去から現在、未来までの時間と空間をこの中に封じ込める。
lulu HOSTEL | SPACE
京都市中京区二条油小路町270-1
Open: 5.6 Wed.–5.18 Mon..
Open Everyday
10:00 - 18:00
*初日は10:30オープン、最終日は17:00まで | The first day starts at 10:30, until 17:00 on the last day
入場無料 | Free