A04
平良博義
Hiroyoshi Taira
ぞめき
阿波踊りでは祭りの前のざわめきや街を包む高揚感、また音楽にのり騒ぎ賑わうことを“ぞめき”という。
2024年の1月、高円寺の東京天水連の岩浪幸宏連長の葬儀が行われることを知った。東京天水連は私が最も好きな連の一つであり、高円寺阿波踊りに長年貢献してきた岩浪連長の葬儀に参列して感謝の意を申し上げたかった。同時に人の生と死に結びつく阿波踊りを記録として残しておきたく、特別に参列と撮影の許可をいただいた。
葬儀で盛大に踊りながら故人を送り出す様子を見て、自然と涙が込み上げてきた。寺の中に響く鳴り物の音、連員の「やっとさー」という掛け声が、亡き連長に優しく語りかけているようで、阿波踊りが血縁関係を超えて人々に深い絆を生み出しているように感じた。この日を境に私は阿波踊りを作品として撮影しようと決意した。そして同年8月、徳島、高円寺の阿波踊りを訪れた。
徳島の津田地区ではお盆になると霊魂を慰めるために送り火を焚き、人々は音を鳴らし踊る。新町橋よいよい囃子のリーダー柳町春雨さんは同年5月に他界した。残されたメンバーが思いを引き継ぎ、観客と共に新町橋で踊りと音を響かせた。
誰かの死は決して無駄になることはない。残された人々の胸の中に刻まれ、やがて踊りや音へと昇華されていく。阿波踊りの長い歴史には人々が繋いできた想いがある。それが街全体を包み込む熱気を生む。それこそが“ぞめき”なのだろう。
くろちく万蔵ビル 3F
京都府京都市中京区百足屋町374−2 くろちく万蔵ビル
Open: 4.18 Sat.–5.17 Sun.
Open everyday
10:30 - 18:30
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入場無料