34
安藤 広樹
Hiroki Ando
Before Night Falls
光の粒子が痕跡として世界に立ち上がる瞬間を、私たちは見ている。
人は気づき、見落とし、思い出し、忘れる——
それらは意志ではなく、時間の流れの中で霧散してゆく。
全身麻酔の直前、意識が途切れる手前のわずかな時間に、
網膜の裏側で像が流れるのを見た記憶がある。
現実と記憶の境界がほどけ、
世界が粒子のまま揺れているように感じた。
存在は形として固定される前に、
痕跡として世界に滲むのではないか。
生や死といった身体の境界とは異なる層で、
生き物や事物が持つ時間や想いは、光の中に沈み、
世界のどこかで静かに持続している。
写真として定着された瞬間の前後に、
浮かび、沈み、離れていく光の粒子があるのではないか。
その揺らぎの中に、確かなものが潜んでいると感じる。
本展は、その揺らぎの層に身を置き、
世界が像になる前の気配と静かに向き合うための場である。
世界に浮かび上がる痕跡に身を寄せ、
そのわずかな繋がりをたどりながら、
静かに物語を紡いでいきたい。
目田ロフト
京都市下京区突抜二丁目353-1 目田ロフト
Open: 4.18 Sat.–5.17 Sun.
Open Everyday
11:00 - 18:00
入場無料 | Free