114

森田良成
Yoshinari Morita
アナボトル お金以外ならすべてある
アナボトルとは「ボトル(空き瓶)の子」という意味だ。彼らは、中に笛を仕込んだ風船を握り「ケコ、ケコ」という音を鳴らしながら、厳しい日差しの中を荷車を押して、町中から空き瓶や鉄くずなどを集めて回る。 インドネシア、西ティモールの町で、私はひとりのアナボトルに出会った。仕事を終えて彼が向かったのは、うずたかく積み上げられた廃品に囲まれた小さな小屋だった。そこには山の上にある村からやってきた男たちが身を寄せ合って暮らしていた。 彼らは「村にはなんだってある。ただお金だけが無い」と語る。集めた廃品は、素材ごとに細かく分けてお金に換える。都市の下層で匿名の労働力として稼いだお金は、村で行われる人生儀礼につぎ込まれ、具体的な人間関係の循環へと埋め戻される。アナボトルたちは町と村を小刻みに行き来して、冷たい経済との距離を調整しつつ、親密な家族の歴史と未来を紡ぎ出している。
bonon kyoto
〒600-8118 京都市下京区平居町20-3
Open: 4.26 Sat.–5.11 Sun. 13:00–19:00 *土・日・祝は 11:00 から|Sat. Sun. & National holidays from 11:00 Open everyday
13:00 - 19:00
入場無料
キュレーター|Curator: 安井くまの、安井正|Kumano Yasui, Tadashi Yasui