南條敏之

Toshiyuki NANJO

「shelerbelt」 日本列島の海岸に広がる防砂林を撮影したものである。「白砂青松」とよばれ「古来より自然と調和してきた日本人」を象徴する風景の一つである。 防砂林の多くは17世紀ごろから、失った自然の海岸林の代わりに、また拡大する農地の保護のため整備された。明治維新・恐慌・太平洋戦争を節目に、何度も荒廃と再建を繰り返している。戦後の高密度な植林は風景を遮断している。津波という巨大な自然撹乱によって多くの海岸林が失われた被災地では、構造物としての松原の再生が進んでいる。 引き受ける風の姿を映したように屈曲した松が見える。この屈曲に「自然との調和」の側面が見えてくる。日本人と自然との関わり方について見つめなおす試みである。 「ヘドラを探しに」 環境問題を怪獣化すること、そして外在化することについて。2018年に亡くなった森永純への自分なりのオマージュでもある。