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千賀 健史、林田 真季
Kenji Chiga, Maki Hayashida
After All
1990〜2000年代、日本では産業廃棄物の不法投棄が裏社会の収益源として横行していた。当時、産業廃棄物対策に携わった職員が、不法投棄の実態を調査し、関係者と信頼関係を築きながら取り締まりを進めた結果、件数と量は大幅に減少したという話がある。しかし、彼が語った「多くが今は別の手段で利益を上げている」という言葉は、社会のひずみを鋭く浮き彫りにする。 本展は、不法投棄をテーマにした林田と、特殊詐欺に焦点を当てた千賀のアプローチを通じ、この変遷の根源を探るものである。法律の整備や環境の変化により収益源が失われると、裏社会は新たな手法を編み出し、その循環は形を変え続けている。この収益構造は、無意識のうちに裏社会を支える私たちの行動や社会全体の構造とも深く結びついている。一見異なる社会問題が繋がることで、日常と裏社会の接点が浮き彫りになるだろう。社会のほころびを映す作品群は、私たち自身の無自覚な関与を問いかける。
RPS京都分室パプロル
〒602-8318 京都市上京区老松町603
Open: 4.12 Sat.−5.11 Sun. Closed: 4/21–4/25
13:00 - 19:00
入場無料
キュレーター|Curator: 後藤 由美|Yumi Goto