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柴田早理
Sari Shibata
Anthropocene Plastics
地球のうごめきを、海洋漂流物から感じる。
火山性の列島で形成された日本の浜辺で、プラスチックが石や生物のように変形したものがまれに見つかる。自然の中で削り出されたその姿は、まるで意志を持っているかのように多様である。
今や無尽蔵に海を荒らすプラスチックの原料となる原油は、海底に沈んだ太古の生物が変化したものだとされている。それが、まるでもういちど自然物になろうとしているかのように、時には鉱物、時には昆虫のように変形している。
人間と地球の二つの力によって生み出されたそれらは、人の手が作り出した人工物なのか、地球が削り出した自然物なのか。
これらのプラスチックは、人間の活動が地球環境に大きな影響を与えている地質学的時代「人新世」を象徴する。私はこの現実を伝えるために、プラスチックの「plastic」(= 形を造る、可塑性の、柔軟な、人工的な、不自然な)な姿を写真に収め、集めた。
堀川御池ギャラリー