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三宅章介
Akiyoshi Miyake
絵空事
私は写真を介して自己表現することに抵抗がある。シャーコフスキー流に言えば、窓派でありたいと願っている。ストリートスナップを撮る際は可能な限り主観を排して、都市の中で交錯する人々の姿を捉えたいと思っている。だが、どうしても個人的嗜好が影響することは避けられない。そこでAIを導入すれば、主観をミニマムにできるのではないかと考えた。 AIは膨大な量の画像とテキストを学習し、私が撮った写真からプロンプトを導き出し、あらたな画像を生成する。学習データはネット上で収集されたものであり、著名な絵画や写真のみならず、ネットユーザーが「いいね」を期待して日常的にアップしたものなどが、ごった煮状態にあり、そこには個人の潜在意識を超えた人類の集合的無意識、集合的視覚表象が反映されているのではないだろうか。 これらは「写真」とは認められないかもしれないが、写真がその意味を拡張してきた歴史の延長線上にあるだろう。
同時代ギャラリー
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