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Maco (藪田正弘)
Maco (Masahiro Yabuta)
原発:時を越える風景
日本には、すでに廃炉が決定したものも含め原子力発電所が59基存在している。技術的かつ社会的な問題を抱える原発は、その役割を終えても簡単には解体されず長い年月そこにあり続ける。否応なくその姿は風景を形作る。 私は現役記者だったころから原発に関する取材をしてきた。議論は生煮えのまま深まらず、ときの権力によって翻弄されてきたその存在は、喉に刺さった小骨のように私の心に引っ掛かっている。原発とは何か。 いまライフワークとして、全国の原発の立地地域を巡っている。改めて原発を風景として表現することで“もの”としてのありようを確認するためである。 本来の姿を浮かび上がらせるため、色彩を排し、精細な描写を欠くヴァンダイク・ブラウン・プリント技法を採った。褐色の画面に浮かび上がる原発は現在のものなのか、それともはるか過去、あるいは未来の姿なのか。古典写真技法で表現された原発は、ときを超えてそこにある。
ギャラリーヒルゲート
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