KG+ 2023

PICK UP

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髙橋恭司

Kyoji Takahashi

Void

本展「Void」においてはデジタルカメラで撮影した新作を発表する。髙橋が日常的に愛用しているライカM8を使い、自室にいながらにして見える範囲を切り取ったプライベートな視点。プリンターの出力設定をマニュアルで調整し、アルシュ紙に浮かび上がった写真はRAWデータとは大きく異なっている。淡く、しかし、はっきりと捉えられた事物が、やや均整を欠いた色バランスで紙に焼き付いている。この新作シリーズで髙橋の精神は、現実と離れすぎてしまう直前の場所に立って静かに張り詰めている。昨年9月の個展では、世界、髙橋の目、カメラ、フィルム、写真、と転移するイメージをGhostと呼んだ。写真は降霊の媒体である。さしずめ、今回の新作は穴だろう。髙橋の身のうちにある大きな穴が、現実からたくさんのものを飲み込んで奪い去っていく。バラバラと抜け落ちていったものが残した虚な殻のような写真。

ARTRO

〒604-8126 京都市中京区貝屋町556

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