17
川尻 潤
Jun Kawajiri
こわれているけれどかがやきながらここにいます。
日本の陶芸には、「歪み」「割れ」という欠点をも愛でるという「茶」を発端とした美意識が存在しています。この「不完全を許容する」という美の概念は、様々なことを示唆しています。人にあてはめてみれば、怪我、病気、障害、などを等しく愛するという精神になります。「博愛」が支配する素晴らしい「不完全な世界」を私は表現します。川尻潤 本展会場は、伝統的な京焼のかつての中心地にあります。川尻氏は、その地の窯元であると同時に、古来の美意識を再考して現代に生きる表現者として多彩な陶作品を制作してきました。本展は、陶土そのものの特性に着目した作品群と、土の変容・時代や環境の変化を対照的/同意義的に見せる映像によるインスタレーションです。陶作品は宇宙観を示唆するいっぽう、映像は、陶作品の制作過程や身近な暮らしに起こる破壊と再生を表現します。川尻氏の視線は、時代の境界に生きる「私たち」を象徴しているといえます。松尾惠
いんきょガレージ
〒605-0953京都市東山区今熊野南日吉町148-50 川尻宅内ガレージ