イェンツ・サンドハイム

Jens Sundheim

ドイツ、ドルトムント市を拠点に活動する写真家、イェンツ・サンドハイムの展覧会を行います。日本では初となる今回の個展では、カメラを使わずに撮影されたサイアノタイプと、写真用紙に直接露光した白黒のシリーズ作品を展示します。光を曲げて歪める写真装置やレンズ、人間の目さえも否定するようこれらの手法は、あるいは現実を絵画的に表現する、最も直接的な方法と言えるかもしれません。しかし、化学反応に基づいて浮かび上がってくるその作品群は、しばしば現実からもっとも切り離されているようにも見えるのです。ギリシャの哲学者、プラトンの「洞窟の寓話」を思い起こさせながら、サンドハイムの作品群は、私たちが見ている世界が、「遠い真実の影」に過ぎないのではないか、と語りかけるのです。