52
脇秀彦、入山由以、竹森滉
Hidehiko Waki, Iriyama Yui, Akira Takemori
Secretion and Containment
私達は、停止した時間を扱う「写真」と、酵素反応によって呼吸し続ける「漆」という、異なる時間を内包する二つの素材を起点に作品を制作している。
写真は一瞬を定着させる媒体である一方、漆は光や湿度に反応し、
変化し続ける“生きている物質”である。
私達はこの相反する時間性を重ねることで、
静止した像の内部に再び時間が流れ始める境界状態をつくり出そうとしている。
水色の漆を身体に纏わせた作品では、
人間の大半を占める「水」を象徴として扱い、
形態や記憶が溶解し、揺らぎながら変容する様を描いている。
反対に、身体から零れ落ちた漆の痕跡は、
内奥に潜む記憶や感情、生命の残渣が外界へ滲み出る現象として扱っている。
漆の「纏う/溢れる」という二つの状態を通して、
身体と世界の境界が曖昧になり、生と死、内と外の境界を往復するような感覚を提示している。
映像と大きなアクリル板に漆を墨流しした、空間全体を満たすインスタレーションは、
身体そのものが分解され、液体化し、漂いながら再構築されるような場所を生成する。
その空間の中を歩き、光と影、層状のイメージのあいだを通過することで、
身体が境界を失い、時間が多方向へと広がっていく感覚を体験する。
漆は硬化後も呼吸し続け、写真もまた漆と共に変化し続ける。
つまり私達の作品は、
固定されない“変化し続ける存在”である。
私はその不安定さを受け入れながら、
時間・身体・記憶・生命の境界が揺らぐ瞬間を可視化し、
静止と変容が同時に生起する新しい表現のあり方を探求している。
meda:loft
京都市下京区突抜二丁目353-1 目田ロフト
Open: 4.30 Thu.–5.17 Sun.
Closed: 5.7, 5.12, 5.13
10:00 - 18:00
入場無料 | Free