4月24日に開催されたKG+オープニングパーティにて、KG+ AWARD 2016ファイナリスト及びグランプリ受賞者が発表されました。
厳正なる審査の結果、香港を拠点に活動するアーティスト 殷 家樑(ヤン・カレン)がKG+ AWARD 2016グランプリを受賞しました。

KAHO GALLERYで4月27日–5月3日に開催された 殷家樑「No Coming / No Going」展
Photo by Naoyuki Ogino
講評
殷 家樑(ヤン・カレン)の緻密な視点で撮影された写真作品は、20世紀初頭を代表する植物学者、カール・ブロスフェルトの緻密な記録写真を彷彿とさせ、被写体の形体そのものを抽出し、職人の手技の真価を捉えるとともに、人間と自然の関係性を探求しています。作品自体が放つ洗練された美しさと、古来より脈々と受け継がれてきたオブジェクトを対象とすることで、鑑賞者にかつて人間は自然とどのように共生してきたかを見つめ直す機会を啓発し、現代社会が直面する社会問題への問いを喚起しています。
また、数寄屋建築のギャラリースペースを会場とすることでアジアの文化を融合し、静謐な空間と簡潔で繊細な作品とが高次元で調和しています。
写真作品だけでなく彫刻作品、ダミーブックの制作など、写真というメディアを通した表現手法が多彩であり、今後の新たな展開にも期待します。 >アーティスト紹介ページ
エブリウェア・ウィ・シュート
意図的か否か、20〜21世紀に活躍する写真家の影響を色濃く受けたハイブリッドとも言える過剰な要素で写真作品が構成されており、写真単体以上にインスタレーションとしての面白さがあります。長らくアメリカの影響下にあったフィリピンを拠点にするアーティストとして、この地で醸成された消費生活をテーマとした独自のフィルターを通して、新たな立ち位置を確立する可能性を感じます。 >アーティスト紹介ページ
西村勇人
最先端のテクノロジーが展開される現場におけるコンピューターの複雑な配線や実験器具のブリコラージュ的な要素に着目した点を評価しました。現代社会をなりたたせているインフラやテクノロジーの脆弱性や原始性が浮き彫りになってくる点がユニークでした。 >アーティスト紹介ページ
ファイナリスト
エブリウェア・ウィ・シュート、西村勇人、殷 家樑(ヤン・カレン)
選考委員長
パスカル・ボース (フランス国立造形芸術センターCNAP写真コレクション・キュレーター)
選考委員
小原真史(IZU PHOTO MUSEUM研究員)
太田睦子(IMAエディトリアル・ディレクター)
KG+実行委員会(ルシール・レイボーズ 、仲西祐介、島井佐枝、野口絵里子)
KG+ PUBLIC AWARD 2016 受賞者決定
5/22に開催されたKYOTOGRAPHIE/ KG +クロージングパーティにて、KG+ PUBLIC AWARD 2016 受賞者が発表されました。
KG+来場者による投票の結果、大阪を拠点に活動する大坪晶がKG+ PUBLIC AWARD 2016を受賞、LUMIX一眼カメラが贈呈されました。

ozasahayashi_projectで4月16日–5月8日に開催された大坪晶「影のコード」展
Photo by Naoyuki Ogino